2011年4月27日水曜日

家族心理教育のモデル

ブログを立ち上げたものの,書く時間がなかなか取れず。
10日ほど前の出来事を,まずは第一弾として。
 
 
佐賀県の,とある病院から家族心理教育のスタッフ研修講師依頼。
羽田空港は,節電で薄暗かった。
 

 

日本における統合失調症の家族心理教育は,標準版と呼ばれる,
枠組み,スタッフの役割などが明確にされているモデルがある。
 
これは,海外で効果が実証されている家族介入モデルを参考にしながら,
日本でも実施しやすいように工夫された家族心理教育モデルで,
日本でもRCT(無作為化比較試験:Randomized Controlled Trial)
で効果が実証されている。
 
千葉県市川市にある国立国際医療研究センター国府台病院で
モデルが考案されたことから,「国府台モデル」とも呼ばれている。
 
 
国府台モデルは,枠組みやスタッフの基本姿勢は分かりやすいものの,
グループセッションにおけるスタッフの役割は,実践の中では
明文化されている要素を流れの中で柔軟に応用することが求められ,
ともすれば,自分たちが行っている実践が「国府台モデル」なのか,
自己流になっているのか,分かりにくいところもある。
 
現実的には,国府台モデルではなくとも“家族をエンパワーする”
ベースの部分を踏まえていれば,亜型やオリジナル版が出てきても
良いと思うが,一つの準拠モデルとして意識されていることは
必要であるように思う。
 
 
 
今回の研修会は,まさにこの点で要望が上がってきたものである。

つまり,自分たちの病院は国府台モデルではないかもしれず,
それはそれで良いと思っているが,国府台モデルを改めて確認したうえで,
自分たちの実践を振り返りたい,そのために,国府台モデルを押さえている
贄川を研修講師として招きたい,というものであった。
 
目的,位置づけが実に明確であり,入りやすい研修であった。
 
 

前半は家族心理教育に関する情報提供の講義。
 

 
 
後半は,課題のグループセッション。
研修受講スタッフがロールプレイでグループセッションを行い,
随時,ポイントの確認とコメントを行うという形式で進めた。
 
いくつか課題は確認されたものの,目の前で展開されていた
ロールプレイは,スタッフの基本姿勢,進め方,役割は,
国府台モデルと呼べるものであったと思う。
 
こうした場合の講師の役割は,次の点になるだろう。
 
①皆さんの行っているグループセッションは国府台モデルの
 大事な要素をきちんと踏まえていると伝えることで
 スタッフに自信をもってもらうこと。
 
②課題に関して国府台モデルの要素を改めて確認すること。
 
③そのうえで,あえて加えるのであれば,国府台病院では
 ○○の点を△△している,等の情報を伝えることで,
 国府台病院での様々な工夫を知ってもらうこと。
 
 
これまでも様々な工夫を行いながら家族心理教育を
展開してきた病院だけに,スタッフは皆,実力者揃い
である,というのが,研修を終えての率直な感想。
 
 
夕方の飛行機で帰るスケジュールを組んでしまったので,
病院スタッフとの挨拶もそこそこに,病院を後にした。
 
 
羽田空港から,迷った挙句に選んだ京浜急行は,
品川に着く手前で,人身事故でストップしてしまった。
 

 
★ 標準版家族心理教育(国府台モデル)に関するテキスト
 
心理教育実施・普及ガイドライン・ツールキット研究会ほか(編)
心理社会的介入プログラム実施・普及ガイドラインに基づく
心理教育の立ち上げ方・進め方ツールキットⅡ 研修テキスト編

特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構(2009年)
 

2011年4月2日土曜日

開設

4月1日を機に,研究関連のことに限らず,
少しずつですが,色々発信していこうと思います。
 
細く,長く。